カブトムシが起こす革命:社会の課題を”好き”で解決する異端児の挑戦

カブトムシが起こす革命:社会の課題を”好き”で解決する異端児の挑戦

株式会社TOMUSHI
代表取締役社長
石田陽佑

中学2年生で家出をし、高校を半年で退学。タイル職人として働き始めるも、アレルギー体質が原因で断念。その後、猛勉強の末に青山学院大学へ入学するも、半年で退学。そんなバックグラウンドを持つ彼は今、カブトムシを使った循環型社会構築のビジネスを展開しています。「好き」という純粋な情熱から始まった事業は、どのようにして社会課題を解決する壮大なビジョンへと転換していったのでしょうか。その歩みには、学生の皆さんのキャリアを考える上で、多くのヒントが隠されています。社長のユニークなご経歴と、事業を急成長させた経営哲学に迫ります。

農作業小屋での双子

廃棄物を資源に変える、循環型ビジネスの全貌

今一番力を注がれている事業について教えていただきたいです。

私が今一番力を入れているのは、カブトムシを活用した循環型社会の構築です。元々は、純粋にカブトムシが好きで、増やして売るというシンプルな事業からスタートしました。しかし、飼育の過程で大量に死んでしまうカブトムシを目の当たりにし、「何か有効活用できないか」と考えたのが転機でした。

そこで、カブトムシの餌として、地域で廃棄される未利用資源を試したところ、これが非常にうまくいくことがわかったんです。さらに、羽化後のカブトムシを粉末にして分析してみると、高品質なタンパク質が豊富に含まれていることが判明しました。

この発見が、事業の方向性を大きく変えるきっかけとなりました。人口増加に伴うタンパク質不足と、ゴミ問題。この二つの社会課題を、カブトムシという存在が同時に解決できるのではないか、という壮大なビジョンが生まれたのです。現在は、カブトムシの生産・販売に加え、未利用資源の廃棄物処理や、昆虫由来のタンパク質・医薬品開発といった事業がメインとなっています。

学生時代の双子(左が陽佑さん)

レールを外れることを恐れない、「後悔しない」生き方

どのような学生時代を送られましたか?

普通の学生生活とはかけ離れていました。中学2年生の時に家出して祖父母の家に居候し、高校は半年で退学、その後はタイル職人として働きました。アレルギーでその仕事を辞めた後、約半年間猛勉強して大学に入学しましたが、そこもまた半年で辞めています。

なぜそんな選択をしたのかというと、根底には「サラリーマンにはなれない」という思いがあったからです。周りが皆、朝同じ時間に起きて仕事に行く姿を見て、「自分にはできない」と感じていました。祖父の事業家としての話を聞き、壁にかかったご先祖様の写真を見て「このじいさんでもできたなら俺でもできる」と生意気にも思ったのが、起業を意識した最初のきっかけです。

ベンチャー時代の双子

祖父母にお金を借りて始めた事業が、社会を変えるビジョンへ

創業されるまでの道のりを教えてください。

最初の起業は、大学時代に仲間たちと始めました。当初は、広告代理事業を展開し、収益もすぐに上がったんです。しかし、仲間全員が「共同経営者」という立場だったため、誰もが同じように意見を主張し、会議はいつも喧嘩で終わってしまいました。

ベンチャーの強みは「迅速な意思決定」です。それを放棄して大企業と同じプロセスを踏んでいては、成長は望めません。この失敗から、組織には明確な上下関係が必要であることを痛感しました。

その経験を経て、もう一度、純粋な「好き」を突き詰めてみようと、カブトムシ事業を立ち上げました。最初は、祖父母から借りたお金でカブトムシを育て、趣味の延長で売るという、ごく小さな規模でした。

しかし、徐々に飼育規模を拡大していく中で、カブトムシが持つ大きな可能性に気づきました。廃棄物を食べて育ち、タンパク質資源となり、さらには医薬品にもなりうる。単なる趣味ではなく、これこそが持続可能な社会に貢献するビジネスだと確信したのです。ここから、事業は社会課題の解決を目的とした、全く新しいフェーズへと転換していきました。

協定式での1枚

地方創生と自己資本を超えたレバレッジ

現在の事業が大きく成長したきっかけはなんでしょうか?

事業の成長には、大きく分けて二つのターニングポイントがありました。

一つは、事業面での「素材への転換」です。単なるペットとしてのカブトムシから、タンパク質源や医薬品、アミノ酸といった多岐にわたる可能性を秘めた素材として捉え直したことで、事業のスケールが飛躍的に拡大しました。ゴミを原料として使うことで、環境負荷を下げつつ、新たな素材を生み出すというユニークなビジネスモデルを確立できたことが大きかったですね。

もう一つは、経営面での「自分たちだけの資本でやらない」という考え方です。現在、私たちの拠点は全国に100箇所以上ありますが、これは単独の自己資本だけでは到底成し得ませんでした。

地方には「村社会」のような保守的な側面が残っており、外部の企業が乗り込んで利益だけを追求する姿勢は、敵対心を生んでしまいます。そこで私たちは、各地域の企業とパートナーシップを結び、合弁会社を設立するモデルを採用しました。

地域の資本やノウハウを活用し、その地域の人々が主役となって事業を動かしていく。私たちはあくまで「縁の下の力持ち」として、ビジネスのノウハウを提供し、一緒に成長していくスタイルをとっています。これにより、自己資本だけでは成し得なかったスピードで事業を拡大し、地方創生にも貢献できるモデルを確立することができました。

株式会社TOMUSHI
代表取締役社長
石田陽佑

秋田県大館市生まれ、中学2年生で家出をする。高校卒業後、一度就職を経験するが、大学受験に挑戦する。青山学院大学経済学部に入学するも、起業することを決意し半年で退学。Web・SNSマーケティング事業の会社を設立するもうまくいかず、祖父が体調を崩したことをきっかけに、秋田県大館市に帰郷。故郷でカブトムシに熱中し、現在の株式会社TOMUSHI設立。現在では環境省のグリーンスタートアップ大賞やJスタートアップ東北認定など、多くの注目を集める。ビジョンである「地球にやさしい未来」のもと、昆虫を使った資源の循環事業にて活動中。

株式会社TOMUSHI https://tomushi.com//

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