
日本の地方を、世界の旅先に。
事業について教えてください
「私が立ち上げた『YamaTrips』は、日本の山や地方の魅力を海外の方々に旅行を通じて知ってもらうことを目的としています。日本の国土の75%は山地ですが、海外からの観光客の約9割が東京、京都、大阪といったゴールデンルートに集中しており、地方にはなかなか目が向けられていません。この現状は、都会でのオーバーツーリズム問題を引き起こす一方で、地方では人口減少に伴う消費の低迷や産業の衰退という課題を抱えています。私は、この二つの問題を同時に解決したいと考えています。私の専門はブランディングとマーケティングで、特に地方の魅力を最大限に引き出し、世界に発信することに力を入れています。現在、自治体や観光協会、DMO、DMCといった団体をクライアントとして、彼らが持つ素晴らしい素材を海外の視点から再構築し、適切なターゲット層に届けるための支援を行っています。」

eスポーツに熱中した学生時代
どのような学生時代を送られましたか?
「私の学生時代は、正直に言って『最悪な学生』でしたね。毎日夜行性で、朝5時頃に寝ていたので、午前中の授業にはほとんど出られませんでした。大学の授業よりも、eスポーツの『Dota 2』に夢中で、1日10時間も没頭していました。世界トップを目指していましたが、結局は挫折しました。勉強はテストの1週間前に集中して、なんとか合格点ギリギリの70点を取るような学生でした。統計学を専攻していましたが、そこに情熱を感じることはありませんでした。本当に自分が何をしたいのか、何に情熱を傾けられるのかが分からず、漠然とした日々を送っていました。」

中国、カナダ、日本、
模索の果てにたどり着いた自分の道
キャリアヒストリーを教えてください
「私のキャリアは、幼少期から親の仕事の関係で様々な国を転々としてきました。中国の北京で生まれ、保育園は中国、小学校は日本の神戸で過ごし、そこで日本語を学びました。その後カナダに移り、中学、高校、大学とカナダで教育を受け、英語を習得しました。大学で統計学を専攻しましたが、情熱を感じられず、自分が本当にやりたいことを見つけるために、子供の頃に過ごした日本へ行ってみようと決意しました。しかし、外国人として日本で働くにはビザが必要だったので、まずはJETプログラムに参加し、三重県の地方自治体で国際交流の仕事に4年間従事しました。ここでは、海外の学校との交換留学や姉妹都市の関係構築などを担当しました。地方での生活も充実していましたが、東京への憧れが募り、28歳で上京しました。東京ではLINEや良品計画で広報・ブランディングの仕事に5年間携わりました。企業ブランディングの重要性やノウハウを学び、永住権を取得した33歳の時に、自分の本当にやりたいことを追求するため、YamaTripsを立ち上げました。日本での暮らしの中で、三重県の消防士の友人との出会いをきっかけに登山を始め、当初はトレーニングの一環でしたが、次第にその魅力に引き込まれていきました。YamaTripsも、当初は登山を軸とした活動からスタートしましたが、実際に動いていく中で、本当に求められているのは地方の課題解決であると気づき、現在は「地方創生」へと大きく舵を切っています。」

学生の今だからこそ、
“未来に必要なスキル”を手に入れる
これからファーストキャリアを歩む学生にアドバイスをお願いします
「私自身も学生時代は、自分が何をしたいのか分からず悩んでいました。しかし、日本に来たいという明確な目標があったので、まずはビザを取得できる仕事を選び、日本で新しい自分を探すという選択をしました。もし皆さんが日本にいるのであれば、私のようにビザの制約はないでしょう。好きなことだけでは生活できないという現実もありますが、今の時代はAIをはじめとするテクノロジーが進化しており、15年前と比べてはるかに速いスピードで物事を形にできます。この波に乗って、学生のうちから自分の本当にやりたいことを磨き上げていくのは非常に有効な選択肢だと思います。大切なのは、サラリーマンとして10年働いた人が持っていないような、未来に必要とされるスキルを学生のうちに身につけることです。会社勤めをしていると、新しいことに挑戦する時間が限られてしまいますが、学生にはそれが可能です。例えば、動画や写真といったコンテンツを単に制作するのではなく、その背後にあるストーリーや背景を的確に伝え、人の心を動かすようにコミュニケーションする能力は、これからの時代に非常に重要です。私はまず、ノウハウを得るための「修行」から始めました。世の中には、十分な経験や知識がないまま情報を発信している人も少なくありませんが、まずは自分自身が本物のスキルを身につけることが大切だと考えたのです。サラリーマンとして働きながら1年間本気で学び、最後にはシリコンバレーに渡って、現地のMETAやGoogleの社員の家に1週間居候しました。その上で、無料でノウハウを教えることからスタートし、実績を一つずつ積み上げてきました。皆さんも、まずは小さな実績を作り、それを語っていくことで、次へと繋がる道が開けるはずです。」

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